届かないAGENTスマートウォッチ

届かないクラウドファンディング Advent Calendar 2018 11日目は、AGENTです。

どんなの?

こんなんです

agent

"The World's Smartest Watch"、「世界で最も賢い時計」という触れ込みのスマートウォッチです。
Secret LabsとHouse of Horologyの共同プロジェクトでした。

ローンチ日は2014年5月21日。初代Pebbleのおよそ一年後ですね。

私2012-2013の間にスマートウォッチ系のクラウドファンディングに3つ参加していて、正直何を考えていたのか今思い返すとさっぱりわかりません。
まあ最近は自作キーボード沼にハマって1年に10台近く買ったりしているので、あまり変わらないのかもしれません。

ともあれ話をAGENTに戻します。

AGENTの機能とか売りを箇条書するとこんな感じです。

  • アプリ開発可能
    • .NET Micro Framework(!)
  • 無線充電(Qi)
  • 三軸の加速度センサ
  • 光センサ
  • 7日間のバッテリ寿命(時間表示のみなら30日)
  • 防水
  • アメリカで製造

こうやって見返してみると、多分無線充電とかバッテリ寿命に惹かれたんだろうなー、と思います。Pebbleが確か7日間なので素晴らしいですね。
Pebbleと同様にアプリストアを用意する予定もあったようです。

私が支援したプランは無線充電器が付いて199米ドルで、出荷予定は2013年12月でした。

AGENTは2013年6月21日に目標金額の10倍である約100万米ドルを集めてプロジェクトが成立しました。

プロジェクト成立後の動き

2013年6月 - 12月

およそ一ヶ月に一度の頻度でアップデートが届きます。

全体的に写真のついたアップデートは少なく、ソフトウェアもハードウェアも順調であることがアピールされます。

正確な日付はわからないのですが、プロジェクト成立の前後あたりでアプリSDKのPreview版がリリースされていたようで、エミュレータを利用したハッカソンも数度行われていたようです。

11月あたりからバックライト周りの仕様がフィックスせず、それにつられてケースの最終仕様も決まらないことが伝えられ始めます。
他の部品は届いていて、あとはバックライトとケースがフィックスしたらQiやFCCの認証作業に入れるよ、というあたりで当初の出荷予定時期である12月が終わります。

ちょっと完全に見逃してる説も捨てきれないんですが、ここまで出荷が遅れるよごめんね!とかそういう情報が全く共有されていない気がします。

2014年1月 - 8月

引き続き一ヶ月に一度くらいのアップデートが続きます。

1月に今後の予定が伝えられ、うまく行けばあと二ヶ月半で製造に入れると報告がありました。

バックライトは2月に一度フィックスしたものの、結局当初の供給元が品質の高い部品を作れないことが判明し、別の会社のものに変更されました。
この変更でケースのデザイン変更も発生し出荷予定日はさらに遅れ、3月時点では2014年の8月になっています。

また3月のアップデートではBluetooth 4.1に対応することも発表されました。

ちなみに2014年3月といえばAndroid Wearが発表された時期です。バッカー達の間にも「こんな時代遅れのスマートウォッチもういらないんじゃね…?」という空気が広がり始めています。

7月にはケースのサンプル画像を含むアップデートがありましたが、サンプルにミスが発見され更に数週間の遅れが発生。

2014年9月 - 12月

次から次へと新しい問題が発生し、出荷予定日はどんどん延期されていきます。 ストラップの供給元が変わったり、引き続きケースデザインの調整があったり。

2013年中に届いた部品の一部に関しては湿度バリアバックの期限が切れ、専用の保管機材を設置することになったとか。

2015年2月

AGENT OS 2.0なるものが発表されます。

昨今のIoTムーブメントをベースに、ハードウェアもソフトウェアも設計し直したそうです。 今までの遅れの原因の一つに共同制作者であるHouse of Horologyとのトラブルがあったとかで、今回はSecret Labsだけで作ることにしたようです。
この新しいハードウェアを開発する一方、既存のものも開発を続け出荷する予定だそうです。

バッカーに与えられた選択肢は下記の3つです

  • 既存の古い製品を受け取る
  • 代わりに新しいAGENT OS 2.0な製品を受け取る(でもいつまでかかるかわからないよ!)
  • 代わりに製造元(Secret Labs)の製品を購入するために使えるギフトを受け取る

ツッコミどころ満載ですが、もう疲れてしまったのでそのまま待つことにしました。 他のバッカーたちも激怒して返金の声がたくさん上がっていました。

2015年3月 - 10月

ソフトウェアやハードウェアの細かいアップデートが続きます。

3月、4月、6月、8月、10月、アップデートの感覚は二ヶ月置きくらいです。

2016年1月 - 6月

1月に旧製品の画面用ガラスをどれにするかでトラブルがあったことを告げるアップデートがありました。 House of Horology担当のケースデザイン周りの業務が滞っており、Secret Labs側で手探りでやっているようです。
このアップデートはわりと壮絶で、House of Horology側とのやり取りの音声ファイルが添付してあり、一部のバッカーを巻き込んでの争いと自分をフォローする(どちらがホントに悪いのかは知りませんが)長文がありました。切羽詰まってくるとチームメンバの人間性とか垣間見えてきます。これもある意味クラウドファンディングの醍醐味です。 このあとしばらく更新が途絶えます。

その後6月、SDKがEcmaScript6(JavaScript)対応したよ、というアップデートがありました。 そのアップデートでは他にもSecret Labsがかなりの負債を負っていることも明らかにされました。

その後二年半ほど経ちますが、今のところアップデートはありません。

まとめ

さっくり書けるかなー、と思ったら思った以上に長い道のりでげんなりしてしまいました。

全体的に見積もりが甘かったんだと思いますが、一番大きいのは複数企業の共同プロジェクトだったことかな、と思います。
コミュニケーションって難しいですね。